一括借上契約とサブリース契約の違い
更新日:10月5日

実は同じ意味ではありません
賃貸経営の世界では、「一括借上契約」と「サブリース契約」が同じ意味で使われることが少なくありません。
実際に賃貸管理会社の営業担当者が、「当社のサブリースです」と説明しながら一括借上契約を提案している場面もよく見かけます。
しかし、本来この二つはまったく同じものではありません。
今回は意外と知られていない「一括借上契約」と「サブリース契約」の違いについてお話しします。
「サブリース」という言葉が広まった背景
今でこそ一般的になった「サブリース」という言葉ですが、昔は業界内でもほとんど使われていませんでした。
この言葉が広く知られるようになったのは、賃貸住宅のトラブルが社会問題として取り上げられるようになってからではないでしょうか。
特に、
退去時の原状回復費用を巡るトラブル
家賃保証をうたったサブリース事業の問題
一括借上事業者とオーナーの契約トラブル
などがテレビや新聞で報じられるようになり、「サブリース」という言葉だけが独り歩きするようになりました。
さらに、一括借上契約において管理会社が借地借家法上の「賃借人」として保護されるべきかどうかが争われた際も、報道では「サブリース契約」と表現されることが多くありました。
こうした経緯から、「一括借上契約=サブリース契約」というイメージが一般に定着してしまったように感じます。
本来の意味は全く違う
では、本来の定義はどうなっているのでしょうか。
一括借上契約(マスターリース契約)
賃貸不動産オーナーと管理会社との間で結ばれる契約です。
管理会社が建物全体を借り上げ、オーナーに対して一定の賃料を支払います。
この契約は「マスターリース契約」と呼ばれることもあります。
サブリース契約
一方で、サブリース契約とは管理会社と入居者との間で結ばれる賃貸借契約です。
管理会社はオーナーから借り上げた部屋を、今度は入居者へ貸し出します。
つまり、
オーナー ⇔ 管理会社 → 一括借上契約(マスターリース契約)
管理会社 ⇔ 入居者 → サブリース契約
という関係になります。
そのため、厳密には一括借上契約とサブリース契約は別物です。
もちろん、一括借上契約は転貸を前提としているため、「サブリース事業」と総称されること自体は間違いではありません。しかし、契約そのものを指す言葉として考えると、両者を完全な同義語として扱うことには少し違和感があります。
言葉は本来の意味から変化する
とはいえ、言葉というものは時代とともに意味が変化します。
例えば、
「役不足」
「破天荒」
なども、本来の意味とは異なる使われ方が一般化しています。
「サブリース」も同じように、本来の意味とは違う形で世間に定着した言葉の一つなのかもしれません。
まとめ
「一括借上契約」と「サブリース契約」は混同されがちですが、本来は異なる契約を指します。
一括借上契約(マスターリース契約) → オーナーと管理会社の契約
サブリース契約 → 管理会社と入居者の契約
日常会話では同じ意味で使われることも多いですが、契約内容や法的な論点を考える際には、この違いを理解しておくことが大切です。
不動産業界には、こうした「なんとなく同じ意味で使われている言葉」が意外にたくさんあります。正しい意味を知ると、賃貸経営や不動産ニュースの見え方も少し変わってくるかもしれません。



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